溶接作業の管理量として,通常は溶接長(実長)が使われ,溶接能率は,1時間当りの溶接長で表わされる。
しかし同じ1Mの溶接長であっても,例えば,脚長5mmの水平隅肉溶接に対して,板厚20mmの立向突合接手では,約20倍の溶接時間を要する。
従って同型船の建造とか,すでに多くの管理資料が整っている場合には,溶接実長でも,管理量として十分活用することができるが,新船型の船を建造する場合とか,従来とは異なった仕事を計画する場合,又は工程管理のメッシュを細かくしようとする場合には,管理量として溶接実長だけでは不十分である。
そこで実長よりも更に精度の良い管理量として考えられたものが,換算溶接長である。
換算溶接長とは,脚長(板厚),溶接姿勢別の単位溶接長当りの所要溶接時間を基準として,それぞれの係数を定め,この係数と実長との積で表わされる。
この係数をβ,係数と実長との積,即ち換算溶接長をβlと称している。
この係数として,単位溶接長当りの実溶接時間(アークタイム=分)をとる場合と,了一クタイム率を考慮して,目標溶接時間(Hour)をとる場合とがある。