最近は、合板などの人工的に加工した板が絵画用の支持体としてよく使われる。
合板は、薄くからつむきした板を、木目が交差するように重ねて接着した板で、あまり反らないし、伸縮も少ないので、支持体に適している。
これに対し、集成板というのは角材をつなげて作った板であり、容易に反るので絵画の支持体には向かない。
木屑や、繊維を固めて作ったパーティクルボード、ファイバーボードというものもあり、これもよく絵画用の支持体として使われている。
シナ合板
合板は、薄くからつむきした板を、木目が交差するように重ねて接着した板で、あまり反らないし、伸縮も少ない。
厚さ数ミリから2cmくらいのものが出回っている。
その性能は、木材にもよるが、多くは接着剤に影響される。
シナ合板の耐水性は、現在、JASの規格で3種類存在する。タイプ1(1類、T1)、タイプ2(2類、T2)、タイプ3(3類、T3)と分類されており、T1が耐水性が良く、T3が最も悪い。最近はT1の上に「特類」という規格も登場している。
これはフェノール樹脂を使った合板で、T1よりもさらに耐水性に優れている。接着剤と、各規格の関係は以下のようになる。
特類 | フェノール樹脂 |
T1 | メラミン樹脂 |
T2 | ユリア樹脂 |
T3 | 増量ユリア樹脂、ガゼイン、膠等 |
ホームセンター等で在庫してあるのはタイプ2が多く、お店の棚か板そのものに「T2」という表示(シール)が貼ってある。
T3は現在ほどんど生産されていない。しかし、JASのタイプ表示のないものはT3クラスの粗悪品だと疑ったほうが良い。
習作に使うとしても「T2」以上のJASの表示があるのを選びたい。
タイプ2は通常、家具や家の内層に使われる合板で、屋内での使用に耐えるだけの耐水性を備えている。
標準耐水性ともいう。タイプ1は完全耐水性と呼ぶこともあり、浴室まわりや家のそとまわりなど、強い湿気にさらされる場所での使用を想定されて作られている。
現在、最も生産量が多いのはT2だが、T1や特類も多くなってきている。
パーティクルボード
木くずのような細かい木材を、フェノール樹脂などの合成樹脂を接着材として熱圧縮して作られた木質ボード。
耐水性もよく、合板に比べて表面のはがれ、凸凹がない。
酸やアルカリにも強い他、普通の木材にあるような、虫喰い、割れ、筋、腐蝕等もおこらない。
材料としては、間伐材、枝の部分、カンナくず、ノコくず、その他あらゆる種類の廃材が使われている、たいへん自然環境によい製品。
大抵のパーティクルボードは、中心層ほど大きな木片を使用し、表面に行くにしたがって小さな木片で作られている。
最終的にはファイ-バーボードのような木繊維の材料を使い、滑らかな表面に仕上げられている。
これは今では、多くの人が支持体として使用している。
ランバーコア
木片を剥ぎ合わせて心板とし、上・下(表面・裏面)にベニヤを接着した合板で、反りに大変強く、比較的軽くて、かなり丈夫である。
上記のような構造のため、通常は厚さが13mm以上ある。
両面のベニヤに、シナベニヤを使用したシナランバーコアは表面も滑らかで細密な表現もできる。
反りが少なく、丈夫で、比較的軽いので、絵画の支持体としてもよく使われている。
その他に、上記、ファイアバーボードや、パーティクルボードを心材としたボードコアボードというものもあるが、これはかなり重量があるので、大きな絵には向かない。