電着塗装(エレクトロ・ディプテーション)の略
塗りたい製品を塗料に漬けて塗装する方法は古くから行われ、製品の形が複雑でさまざまでも塗りもれが少なく錆びを防ぐ目的などに適しています。
ただし塗料の流れた跡が残ったり、塗料の無駄や消防上の危険が伴います。
近年では水性でめっきと同じように電気泳動する塗料が開発され金属の塗装に道が開けました。
金属製品を槽に満たした電着塗料に漬けて製品と槽の中の電極の間に電圧をかけると、めっきと同じように製品に塗料が付着しますが、そのあと水で洗うことにより電気的に付着していない塗料が落ちてより均一に塗料が付いた状態になります。
これを加熱して硬化させると塗装完成です。槽の中の電着塗料は大部分が水ですから引火の危険もありません。
特に15年あまり前から急速な発達を遂げたカチオン型は防食力が強く、乗用車のほとんどに下塗塗料として定着しました。塗料の飛散が少ないので公害対策としても良好です。
アニオン(型)電着塗装
製品をプラス、電極をマイナスとして通電する方式でカチオン型より古い歴史があります。
塗装色の安定性(上塗に使用しやすい)や焼付温度が低いなど利点も多いのですが、製品がプラスであることから宿命的に防食力がやや不十分です。
この工程に対して防食性を重視する関係でこの方式はとりません。
カチオン(型)電着塗装
製品をマイナス、電極をプラスとして通電する方式で、アニオン型と塗料も設備も違います。
特にエポキシ樹脂カチオン電着塗装では密着力にすぐれた最高水準の下塗塗装で、強固な塗装膜が得られ、自動車、建設機械部品、家庭電化製品部品などに使用されて抜群の防食性を誇っています。
昭和63年、いちはやく25トンの電着塗料槽と専用の通電設備、タクト型搬送設備、洗浄設備、硬化設備を用意して幅2450mm高さ2600mm奥行1150mmの大型品のエポキシ樹脂カチオン電着塗装を開始。
配電盤やクリーンルーム内の搬送装置の防錆塗装で多大の実績を積んでいます。
メーカーの電着塗装部門が塗装のみの仕事を受注する例はほとんどなく、同業者でも多くは製品サイズが小さいので当社の設備は極めて例の少ないものといえます。なお塗装色はベージュ色ですが下塗用ですので変動します。
エポキシ樹脂カチオン電着塗装は下塗塗装です。その上には各種焼付塗装やウレタン塗装などの上塗が必要です。