高温多湿な日本の気候に合った家として、木造家屋は古くからつくられてきました。
針葉樹、広葉樹それぞれに種類豊富な木材。木の特徴を知り、ふさわしい場所で生かしたいものです。
木材の特性
比重は、石材やコンクリートの四分の1という「軽さ」が第一の長所。
繊維が集まって、中が空洞になった構造なので、内部の空気の層が保温断熱効果も発揮。「熱伝導率が低い」のも特徴です。
さらに、木材は水分の量が、空気中の水分に応じて変化する「調湿機能」を持っています。
つまり、空気が乾燥すれば、木材内部の水分が放散され、逆に空気の湿度が高いと、木が吸湿するのです。
木材のデメリット
木材は、硬い部分と軟らかい部分が混じっているので、乾燥すると変形してしまいます。
また、腐ったり変色の恐れも。これらを防ぐため、建築用の木材は、完全に乾燥させておくことが大切です。
土台にはヒノキ
ヒノキは丈夫で、水、白蟻に強い特性があります。
だから、腐らず、歪まない土台をつくるにはヒノキが適しています。
柱にはスギ、ヒノキ。梁にはマツ
柱材には、まっすぐで変形の少ないスギあるいはヒノキ。和室や床の間などには、木目の美しいものを用いましょう。
梁には、曲げ強度が強いマツが向いています。
内装材にはベイマツ、ヒバなども
キッチンやトイレなど水回りには、腐りにくいヒノキ、ヒバを。
階段には、丈夫なヒノキ、マツ、ベイマツが適しています。
ほかにも、木はいろいろ
スギ、ヒノキ、マツ、ヒバは針葉樹。曲がりがなく、比較的軽量で加工しやすいのが特徴です。
広葉樹には、サクラ、キリ、クリ、ブナなどがあります。
サクラは変形が少なく、彫りやすく欠けにくいため、敷居や鴨居、天井の化粧材などに使用。
高級箪笥などによく使われるキリは、日本の木で最も軽いうえ、適度な強さもあります。断熱効果が高く、燃えにくいのもメリットです。
クリは腐朽にとても強く、土台に適しています。木目がくっきりしているため、床柱、椅子などにも用いられます。
ブナは比重が大きく丈夫。家具やフローリングなどに使われます。
木質建材
原木に加工を施して、安定した規格材として木質建材が用いられています。
最も知られている木質建材は「合板」。ベニヤ板とも呼ばれ、原木を薄く削って板を張り合わせたものです。
「繊維板」は木材をチップ状にしたり、繊維状にして、樹脂などで固めた建材。床の遮音下地などに使われるパーティクルボード、床下地やインテリア部材に使われるMDFなどがあります。
また、板状や棒状にした木片を接着して大きな部材にした「集成材」もあります。かなり大きな部材ができ、建築構造部材として活用されています。
最後に
上記のように日本には様々な素晴らしい木材があります。
木材を住宅に使用するデメリットも勿論ありますが、それがメリットを超えることはありません。
日本特有の木材を使用してゆっくりと落ち着ける家を造るのも日本人にとっては選択肢の一つに加えたいところです。
当然ながらいい木は価格も上がるためこだわるのであれば念入りな打合せをして妥協のないものを造りたいところです。