省エネにも繋がる屋上緑化(屋上庭園)について

屋上緑化

 

今、環境問題は深刻です。

地球温暖化や、都市の気温が周辺よりも高くなるヒートアイランド現象の原因には、コンクリートの建物の増加、冷暖房の排熱、建物の輻射熱などが挙げられています。

その緩和策として注目を集めているのが、緑化。屋上や壁面の緑化は、省エネにもつながり、生活環境も豊かになります。

ぐっと温度を下げる屋上緑化

屋上緑化とは、建物の屋上部分に芝生を敷いたり植栽をすること。

緑化することで得られる効果は様々です。

まず、屋上に緑や花々があると、蒸散作用によって周囲の気温を下げます。

以前東京都の調査では、緑化していない屋上表面温度が約55度だったのに対し、緑化面では30度。

建物の天井温度の比較でも、緑化した方が約1~3度低い結果が報告されています。

また、断熱効果が高く、省エネにもつながります。もちろん、家族の心をなごませてくれる癒し効果も抜群です。

 

 

さまざまな植物が楽しめるガーデンに

屋上に植えられる植物は、基本的には地上とあまり変わりません。

ただ、一年の気温差が大きく、風が強くて乾燥しやすいため、耐風性、耐乾性のある植物が適しています。

根の深くなる樹木なども避けた方がよいでしょう。

ちなみに、代表的な屋上緑化用植物としては、高木ではウバメガシ、キンモクセイ、サザンカ、ムクゲ、ヤマボウシ、リョウブなど、低木ではアセビ、カンツバキ、ツツジ類、ナンテン、アジサイ、ボケ、コデマリ、ヤマブキ、ユキヤナギなど、地被植物類ではコグマザサ、リュウノヒゲなどです。

鉄筋コンクリート造に多用

屋上緑化を施すには、人工地盤をつくり、躯体の上に防水と防根を施し、軽量土壌などを載せます。

屋上庭園は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の建物に多く見られ、紫外線にさらされるコンクリート面を保護する役割も担っています。

木造・鉄骨造でも可能。建物の耐荷重、防水などに問題がなければ、規模は限られますが実現できます。

防水、荷重、排水に注意

屋上緑化で注意したい点のひとつは、防水。植物の根は非常に強く、防水層を突き破ってしまうこともあるので、最適な防水方法を選択しなくてはなりません。

次に、建物への負担も考慮。建物の荷重条件を踏まえて計画しましょう。

緑化面を屋根としてではなく、屋上のように人が歩くことを前提に考えるとよいでしょう。

また、屋上では、雨水は地下に流れるのではなく、屋根の排水溝に流れます。

排水がうまくできないと根腐れしたり、土がつまったり。排水溝を確実につくることが肝心です。

助成制度

屋上緑化や壁面緑化について助成制度を設けている地域も多くあります。

たとえば、愛知県では名古屋市で「名古屋緑化基金建築物等緑化助成制度」が設けられました。

市内の市街化区域で新たに屋上の緑化を行う人を対象に、工事や植栽にかかった経費の2分の1に相当する金額(緑化面積1平方メートルあたり2万円を限度とし、個人用建築物は25万円が限度)を助成しています(壁面緑化でも利用できます)。

ほかに、岡崎市や小牧市でも屋上壁面緑化の助成制度があります。家を建てる地域の制度を調べてみましょう。

 

壁面緑化

壁面緑化

 

つる植物・ツタ類を壁面にそって這わせたり、上から垂れ下げたりすることで壁面を覆い緑化する方法。

単独では屋上緑化ほどの効果はありませんが併用することで着実に温湿度・耐候性などへの効果を発揮します。

壁面緑化を専門に請け負う業者もありますが、基本的には個人で設置することも可能です。

ただし、ツタ類を扱う場合は、壁面に根付かないようにする工夫が必要です。(外壁の上にネットを張るなど)

外壁に直に根付かせてしまうと、外壁表面が根によって荒らされてしまうため耐候性の低下が危ぶまれるためです。

 

ビオトープ

ビオトープとはもともとはドイツ語のBIO(生物)とTOP(場所)の合成語で、野生の動植物が生まれ育つ生態系をさすものです。

現代では、 自然の「保全・復元・創造」を内包した概念として位置づけられています。

主に都市の中で、池や湿地を中心とした木々や下草・虫や小動物らの生態系を作りあげ、自然を再生する視野で守り育んでいくという形が取られています。

小規模なものなら戸建住宅でも可能です。個人で作られている方も多く、規模も様々ですが下の動画を参考にしてみてください。

 

 

 

 

最後に

市街地であっても、自然を取り入れるだけでやすらぎが生まれます。

相応の費用もかかるため、大掛かりなものをやるのは難しいかもしれませんが、ビオトープなどの小規模なものからでも始めてみましょう。

設計のポイント
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