吸音
やわらかい材料・通過する音を吸収し弱める。
OA環境的には 音の質を低下させる。
空気振動が直接材料内部の気泡部分の空気に伝わる。
気泡の面での空気の粘性摩擦を生じ、音のエネルギーの1部が熱エネルギー変換され、吸音作用を生ずる。
つまり・・・音エネルギー ⇒ 熱エネルギー
また、多孔質材料(軟質ウレタンフォーム、ガラスウールなど)に音があたると、その空気振動が直接材料内部の気泡部分の空気に伝わる。
気泡の面での空気の粘性摩擦を生じ、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、吸音作用を生じることになる。
このように空気の動きに対する抵抗によって、その振動が減衰し音が小さくなることを吸音という。
コインシデンス効果現象とは、入射音と材料の曲げ固有振動との共振によって材料の透過側の振動が大きくなり、透過損失が低下する現象。
- 特定の周波数で遮音性能が低下する現象
制震
弾力のある材料に利・音の振動を抑え込む。
制振材料は固体音に対すエネルギー吸収の目的で使用される。
主に粘弾性を利用したものとなる。
遮音
硬い材料・音を通過させず跳ね返す。
OA環境的に 妙なエコーを起こす原因となる。
遮音と吸音はしっかり区別して認識しておく必要があります。
筆者が大学で建築を勉強しているとき、建築音響学の先生が、遮音と吸音を混同した例として、ある小学校の防音工事の例を教えてくれました。
その小学校は、今ではもうあまり見られない木造校舎だったのですが、校庭からの音が、教室に入ってくるのを防ぐため、壁内に吸音材をに入れたのです。
その結果はもう皆さんもおわかりのように、ほとんど変わりませんでした。
遮音のために吸音材がほとんど役に立たないことは周知の事実ですが、昔はこういう間違いをやっていたのです。
そういうわけで、遮音と吸音について、まとめておきたいと思います。
遮音
室内へ、外部や他の部屋から音が進入したり、また逆に音が漏れたりするのを防ぐこと。
遮音のためには重い材料を使うこと、多層にすること、隙間をなくすことの3つが原則です。
重いということでは建築材料としては、コンクリートが理想的ですが(ただし軽量気泡コンクリートは遮音効果は劣ります)、木造の場合は外壁はモルタル塗り、内壁は石膏ボードが効果があります。(もちろん厚ければ厚いほど良い。)
薄くて軽いサイディングやベニヤ板は、遮音効果はあまり期待できません。
多層というのは、遮音性のある材料を2枚以上使って壁を作ることをいいます。
貼り合わせても、もちろん重量が増えるのに見合った効果はありますが、間に空気層を作るように離して配置すると、遮音性能はずっと大きくなります。
空気層は厚ければ厚いほどいいのですが、そうすると壁全体が分厚くなって、部屋の有効面積が減ってしまいます。
収納スペースなどをこの空気層代わりに利用できれば、理想的です。
また隙間について言えば、ちょっとの隙間でも音は漏れるので、コーキング材などで入念にふさぐ必要があります。
また窓についていえば、ガラスは厚いにこしたことはありませんが、それよりもアルミサッシュ自体の防音性能の方が大きく影響します。
一般の住宅用アルミサッシュは遮音面からは少し弱いので、防音サッシュを使うのが効果的です。
吸音
室内の音を吸収すること。
音楽ルーム内で発生した音(つまり楽器やオーディオの音)が聴きよい音になるように、吸音材によって調整します。吸音は内部に空気的空隙を多く含んだものほど効果が大きく、スピーカーボックス内部に貼られたグラスウールなどはその代表的なものです。
その他、ロックウール吸音板、厚手のカーペットやカーテンなども吸音効果があります。
遮音と吸音の組み合わせ
遮音と吸音を一つの材で行うことはできません。
ところが音楽ルームは遮音と吸音を同時に要求されるので、そこに設計の難しさがあります。
原則としては、室内仕上げ材は吸音性のあるものとし、その下地材や外壁材は遮音性のあるものを使います。