崩壊機構は、地震などの外力で構造物の曲げモーメントが増え、部材のあちこちに塑性ヒンジができて、最終的に崩れるまでの過程を表す言葉です。
部材の断面が全塑性モーメント(Mp)に達すると、その位置では曲げモーメントがそれ以上増えず、回転だけが進みます。
この状態になった点を塑性ヒンジと呼びます。
回転する点という意味ではヒンジ(蝶番)に近い働きをしますが、全塑性モーメントを保ったまま曲がるところが、ふつうのヒンジとは違います。
塑性ヒンジが1か所できただけでは、不静定構造物はすぐには崩れません。
ヒンジが増えて、構造全体が動いてしまう形(機構)になると、荷重を増やさなくても変形が進み、崩壊します。
どの部材にヒンジができるかで、崩壊の形が分かれます。
建物全体の梁端と最下層の柱脚に塑性ヒンジができる全体崩壊形(全体崩壊機構)は、エネルギーを建物全体で吸収できるため、耐震上望ましいとされます。
梁が先に降伏するように、柱の曲げ耐力の和を梁や接合部パネルの曲げ耐力の和より大きくする設計も、このための考え方です。
一方、特定の層の柱や梁だけにヒンジが集中する部分崩壊形(特定層の崩壊)は、その層の変形が大きくなりやすく、望ましくないとされます。
鉄筋コンクリート造の保有水平耐力計算の規準案では、曲げ破壊型の全体崩壊形を推奨し、部分崩壊形には構造特性係数(Ds値)の最大値0.55を用います。
崩壊荷重は、仮想仕事法で求められます。
想定した崩壊機構で、外力がする仕事と、塑性ヒンジの全塑性モーメントがする仕事(Mp×回転角の合計)を等しいとおく方法です。
建築士試験の問題でも、柱脚2か所と梁の2か所の計4か所に塑性ヒンジをおいた機構について、この方法で崩壊荷重を求める例が出ています。


