家を建てる時には、「地鎮祭」と「上棟式」という儀式を行います。必ず行うべきものではありませんが、先人たちが大切にしてきたしきたりです。
儀式という要素のほかに、家を建てる人が職人さんたちや地域の人とのコミュニケーションを深める機会でもあるのが「上棟式」。地方によって、この時用意するお酒、料理、引出物は違ってきます。
餅をまいたり、上棟銭という新しいお金をまく地方もあるようです。施工業者とよく相談して準備を進めるとよいでしょう。
地鎮祭と上棟式
地鎮祭と上棟式は、家を建てるまであまり馴染みがなかったという人がほとんど。おおよその流れや、用意しておくものを紹介します。
儀式
「地鎮祭」と「上棟式」は、家を建てる時の大きな儀式。地鎮祭は、地域や神社によって多少異なったり、簡略化される場合もありますが、大まかな流れは決まっています。
上棟式は、式典であると同時にコミュニケーションの場。地域や家庭の状況に合わせて考えてみましょう。
地の神を鎮め、敷地を清める「地鎮祭」
「地鎮祭」は、工事に先立って行います。
土地の神を鎮め、建物が無事に完成し、長くその場に建っていられるように祈願する祭りです。
近くの神社の神主さんにお願いするのが一般的。家庭によっては、仏式やキリスト教式で行うこともあります。
神式の場合、敷地の中央に神壇を設け、四隅に竹を立て、しめ縄を張り、式次第にのっとって執り行われます。
設計者が鎌、施主が鍬(クワ)、施工者が鋤(スキ)の順で三度ずつ作業する仕草を行います。
次に、神主から基礎工事の時に建物の中央に埋める鎮物(しずめもの)が渡されます。
地鎮祭が終わると、お神酒で乾杯します。開始から終了まではだいたい30~40分ぐらいです。
用意するものは、お供え物として米(一合)、清酒(一升)、塩、水、魚(鯛または鰹節、するめ、昆布など)、野菜(大根、ニンジン、レンコン、菜物など)、くだもの、人数分の紙コップまたは湯のみです。
吉日の午前中に行われるケースが多いようですが、特に大安や友引だけにこだわることはありません。工事の諸準備に合せて選ぶことが大切です。費用については、神主さんに3~5万円が相場です。
着工は、地鎮祭を行ってから45日以内に行いましょう。
職人さんをもてなすお祝い「上棟式」
「上棟式」は建前(たてまえ)とも呼び、無事に棟が上がったことに喜び、感謝するものです。「儀式」というよりも、施主が職人さんをもてなす「お祝い」の要素が強くなります。ですから、地鎮祭と異なり、神主さんは呼びません。
工事に関わった人が集まり、工事の安全を願うと同時に、皆で協力してよい家を造ろうという気持ちを確認する場といえます。近所の人に参加してもらうのもよいでしょう。
用意するものは、お神酒、塩、洗米のほか、宴席用の料理と飲み物、ご祝儀、引出物・折り詰めなど。ご祝儀は、職人さんや関係者それぞれに5000~2万円ぐらいを出します。
料理やご祝儀を準備するため、事前に出席者の人数を施工業者に確認しておきましょう。
進行は、建物の四隅にお神酒、塩、米をまいて清め、上棟の儀を行います。
その後、施主のあいさつ、設計者のあいさつ、施工業者のあいさつ、乾杯を行い宴席へ。工事に関わっている職人さんたちの自己紹介があり、ご祝儀を渡し、お開き。手締めを行います。
最後に
地鎮祭や上棟式について見てきましたが、上記はあくまでも一例です。
地方によりお供えや金額が異なることがほとんどです。
施工業者の方にどのようにすればいいのか、事前に訪ねておくのが間違いがないでしょう。