マイホームの購入で親から資金を出してもらう人は珍しくありません。
ただ、お金を受け取った時点で贈与税の問題が出てきます。
この記事では、公的な調査と国税庁などの資料で確認できた範囲に絞って整理します。
援助を受けている人はどれくらいいるのか
国土交通省の「住宅市場動向調査」(令和5年度)をもとにした解説記事では、親などからの資金援助を受けた割合は、注文住宅(新築)で22.1%、分譲戸建住宅で21.6%、分譲マンションで14.7%、中古戸建住宅で17.8%、中古マンションで14.2%とされています。
新築の戸建てでは5人に1人強、マンションや中古でも7人に1人前後という計算です。
金額の面では、新築分譲マンションを買った世帯の自己資金の内訳のうち、贈与は平均141万円、贈与した親の平均年齢が71.3歳でした。
土地を買って注文住宅を建てた世帯では、住宅建築資金を贈与した親の平均年齢が71.4歳で、60代が47.6%と最も多かったです。
援助の額は、一般にイメージされるほど大きくない、というのが数字から見える実態です。
贈与税の基本は年110万円まで
親子の間でも、お金をもらえば贈与税の対象になります。
通常の暦年課税では、1年間に受け取った財産の合計から110万円の基礎控除を引いた残りに税率をかけて計算するため、年間110万円以内なら税はかかりません。
注意したいのは生前贈与加算です。2023年度の税制改正で、相続発生前の3年から7年に延長されたため、親が亡くなる前の7年間に受けた贈与は、基礎控除の範囲内であっても相続財産に加算されます。
毎年110万円ずつ贈ってもらう方法は、親の年齢によっては思ったほど節税にならない場合があります。
住宅取得等資金の贈与税非課税特例
家の購入資金に限っては、特別な非課税の仕組みがあります。
国税庁の案内では、令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合、省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外の住宅なら500万円まで贈与税が非課税になります。
限度額は受け取る人ごとの金額です。
省エネ等住宅の基準は令和6年度の改正で厳しくなりました。
改正後は、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上が必要です。
この1,000万円枠が使えるのは、新築住宅の建築と新築住宅の購入に限られ、中古住宅の購入や増築は対象外とされています。
受け取る側にも条件があります。贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であることなどです。
手続きの面では、贈与税の申告が要件とされ、贈与を受けた年の翌年3月15日までに資金の全額を住宅の取得等に充て、居住の用に供する必要があるとされています。
非課税なのに申告が必要な点は、見落とされやすいところです。
この特例は暦年課税の基礎控除と併用できます。基礎控除の110万円に加えて、最大で1,000万円が非課税になる可能性があるということです。
使い方で気をつけたい点
贈与された資金を住宅ローンの返済に回すと、特例は使えません。
贈与を受けた全額を住宅の取得に直接充てる必要があり、ローン返済に充てた場合は適用を受けられないと説明されています。
土地の取得に使うのは構いませんが、土地だけに全額を使うのも認められず、住宅部分にも充てることが求められます。
住宅ローン控除との関係も確認が必要です。
非課税で贈与を受けても住宅ローン控除の対象から外れることはないものの、控除の計算に使う取得対価の額が変わる可能性があります。
同じ解説の例では、取得金額6,000万円のうち1,000万円を非課税贈与で受けると、取得対価は5,000万円として扱われます。
年末のローン残高がそれより多ければ、控除の計算は5,000万円が基準になります。
期限にも触れておきます。この特例の適用期限は令和8年12月31日です。
令和9年度の税制改正に向けては、環境省が住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について、所要の措置を求める要望を出しています。
年内に贈与を受けて契約や入居を進める場合は、国税庁の最新の案内か税理士で現在の扱いを確かめてください。
参照:国税庁





